デイサービスセンター陶芸教室での楽しみは利用者さんとのおはなしです。
長い人生送ってきた方たちのお話は興味深いものがあります。
満州生まれの方、九州の方、宮城県の方、いろんなところで生まれて
生きてきた方が今、ここで一緒に過ごしている不思議。
ついついどんな人生を送ってきはったのか知りたくなって、
「何なにさんは恋愛結婚ですか?」とか
「どんな子どもでしたか?」
とか質問ばかりしてしまいます。
「私は恋愛なんかしたことありませんねん。好きも嫌いもない、親がいいという人と
一緒になっただけ。」
「でも、たくさん子ども生んではるやん。」
「そらまあ、、、、。子どもくらいは生みますわなー。」

子どもの時の満州での暮らしぶりを詳しく語ってくれるKさん。
Kさんはしわしわの顔のヒョウ柄好きのかなり個性的な方。
「豚の顔があんた、大きなお鍋の中でグツグツ煮えてて、その豚の鼻から
湯気がぶわーぶわーっと噴いてるのを見て、子どもながらにびっくりしてなー、
あれは忘れられんわー。」
「本を読むのが好きでなー、ペチカにもたれて本ばっかり読みよったら
お母さんに叱れてなー、手伝いもせんと本ばっかり読んで!って。
あの頃は意味もわからんのに「女の一生」なんか読んでたんよ。」

いろんな話が私の中ではまるで映画のワンシーンのようにしっかり焼きついています。
手を動かしながらいろんなおはなしに花が咲きます。

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中でもとても魅力的な男性お2人とのおはなしは、ほんとに楽しく、いつも勉強になります。
90歳手前のT原さんはデザイナーさんだったとか。
口から出るのはいつも、深い思索をし続けてきた人の言葉。
体をこわしてしばらく休養されていて、久々に筆を持ってもらいました。
「僕は書が好きですねー。筆をおろすときには自分の正義感、思想、すべてを
出す時。なんにもないと手が震えますね。自分を持ってないと字は書けませんねー。」
T原さんは「美」とは何かを問い続けてきた方。
昔に趣味で作った陶の作品はそれはそれは美しい端正な形の器です。
「僕は未だに形見になるようなものは作れていませんねー。」
まだまだ追求する根っからの美の探求者です。
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年をとって、思うように作れないジレンマがT原さんの新たな境地を開きます。
ご自分が作ったことも忘れて般若と対話するT原さん。
「なかなかおもしろい顔をしていますねー。この般若は。
ただ怖いだけじゃない何かがありますねー。」と。
「僕のおやじはいつも言ってましたね。自分の考えだけでは
限界がある。先人たちが何をやってきたかを勉強しなさいと。」
確かにT原さんの収集物はすばらしいのです。
なんと魯山人の器も持っておられたようです。
T原さんの目は本物を求める目です。
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T内さんのおはなしがこれまた大変おもしろいのです。
ダンディーな60代後半のT内さんは生け花が趣味、日本酒をこよなく好む、粋な方。
「私はきれいなものが嫌いなんですよ。何でもちょっと曲がったり変な形のものが
好きなんですよ。」
「でも、そのちょっと変わったものっていうのはバランス感覚がないと作れないでしょう?」
「そりゃ、バランスだけで生きてきましたから。」
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「そうですよねー。研究が仕事で、趣味にヘラブナや乗馬、生け花に麻雀、
いろんなことやってはったらバランス取らないとできませんよねー。」

「人間、クヨクヨ悩んだって悩むだけ損ですよ。お金がないーって悩んだって
お金は出てこないでしょ?一生のうちにできることなんかしれてるんだから
6割は世のために一生懸命やって、あと4割はまあ自分の好きなことやって、
そしたら2割もいいことしてるんだからそれで充分ですよ。」

「実用新案、特許の申請をするときなんか、昼間そのことをずーっと考えてるでしょ?
でも昼間にはその答えを出さないの。夜寝てる時に夢で答えが出てくるんだよ。
朝起きて夢で見たことをすぐに実行すんの。そしたらちゃーんと答えが出てくるの。
人間、できないことなんてないんだよ。
夢だって自分の潜在意識だかなんだか自分が経験したこと、知ってることしか出てこないんだから
そんな夢みたいな話とか言うけど、それはできるから見るんだよ。」

あまりのすばらしいお言葉に「T内さんはなんでそんな心の余裕のあるポジティブ思考の
人間になったんですか?」と聞きました。
「さーねー?親がそう育てたんとちがう?うちの親は私がやりたいっていうことを
止めたことは一度もなかったしね。悪いことでもいいことでも。
失敗なんてしたことないよ。失敗って思えば失敗だけど、あきらめなければ
できないことはないから、それは失敗じゃないもんね。」

はぁ~、、、、、。すごすぎる、、、。

T内さんは完成した自分の粘土の作品を見て、いつも「あ〜、今日もいいのができた。」
と言います。ご自分がずいぶん記憶が弱っていることもちゃんと知っておられます。

さっきのことを覚えてない、そんな方たちの言葉だからこそ、余計に鮮やかに思えて
「宝物」を見つけたような気分になります。

ところで、おはなしを聞いていると、お二方とも、この年になってもまだ親の存在が大きいようです。
うちの子たち、年寄りになったらどうなんやろう?
こんな気合の入ってない親やけど、、、。

ちょっと前に私が「もう、うちのお父ちゃんは子どもみたいやなー、、、。」
と息子にグチを言ったことがあります。
すると息子は「まあ、そこがいいんちゃう?そんなぐらいでいいやん。」やって。

昔の親と今の親はちがうのでしょうが、、、、。

とりあえず、一緒に釣に行って、息子が釣のプロになりたい、と言っても
「ムリムリ、、。」とは言ってないので、それで許してもらいましょう。