昨日もまたディサービスセンター陶芸教室の日。

娘時代を満州で過ごしたお二人が向かい合って座っています。
お一人の方はいくら勧めても絶対に自分の作りたいものしか作らない88歳Kさん。
もうひとりは視力1.5!の穏やかで凛とした雰囲気を持つ
93歳とはとても思えない超人、Yさん。
作るものすべて丹精こめて丁寧に細部までこだわる意欲的な方です。

「満州で育った人同士、通じるものがありますか?」と聞くと
「そうやねー。わかるよー。のんびりしてるからなー。向こうは親戚なんか
ないやろ?となり近所は赤の他人だから気楽なもんよ。
私なんか、のんびりしてるから肩こりも知らんもんね。」

お父さんはお酒もタバコもやらない働き者だったけど、Kさんのだんなさんは
お酒飲みでずいぶん苦労されたようです。
「しょーがないわねー。鼻筋の通った男前だったから
好きになったんやもん。悪いお酒じゃなかったから一緒にガハハ、と笑っとった。
いい男は女がほっとかんやろ?しょーがないわねー。」と笑って言います。
しわくちゃの顔のK さん、ヒョウ柄のワンピースを着て、
「私は小さい頃から人と同じもんがいややったんよ。
1ヶ月の給料が60円の時代に60円の毛皮のコートが欲しくて欲しくてたまらんかった。」
指にはいつも大きな宝石の指輪をしています。
「人にどう思われたって、自分が好きなもん着て自分でいい気分やったら
それでいいやろ。」

一方、気品漂うYさんの口ぐせは「そりゃあ、聞くも涙、話すも涙、いろんなことがありましたねー。」
「人生、いろいろあらーね。」
満州でロシア兵が怖かった話をよくされます。
子ども時代は琴を習ったり、生け花を習っておられて
日本人の町は日本の暮らしがそのままあったようです。

満州から引き上げて来るときに、離れ離れになっただんなさんが
亡くなっているものと思っていたら、日本で生きて会えたそうです。
戦後は「羽衣屋」というお店を開き、編みこさんを雇って、機械編みの服
が商売繁盛で、子どもも育てて、忙しくも充実した日々だったそうです。

DSCN2068
10年ほど前にはるふみさんからもらったアロエ、今年初めて
花が咲いたよー。

80、90まで生きていると、自分の子どもに先立たれている方もけっこうおられます。
このお二人もお子さんを亡くされています。
Yさんは仕事中の事故で息子さんを亡くされ、
Kさんは娘さんを精神的な病気で亡くされたようです。大人になってから
家から全然出られなくなって、ずっと一緒にいたようです。
今は息子さんと暮らしておられますが、
その息子さんも病気か何かで車イス生活をしているようです。

おはなしを聞いていると、ずいぶん苦労されて大変な人生です。
Kさんのこの朗らかさはどこから来るのでしょう。
「おんなじ生きてるんだからあんた、笑って生きな損!
お金なくても、リサイクルのお店で毛皮の服買って、
息子にも「ま~た、お母ちゃんはそんなに呑気なこと言って。」って
言われるけど、しゃーないわね。」と笑って我が道を行くのです。
少し前に骨折して入院され、もう歩けなくなるかも、と聞いていたのですが、
驚異的な回復力で何事もなかったかのように今、しゃんしゃん歩いておられます。
ご自分が骨折して、入院されていたことも忘れて、
当然のように歩いたからよかったようです。
「みんな大変でしたね、って言うんだけど、どこでどうしてたか
なーんにも覚えてへんねん。」
DSCN2072
梅雨ですね。
Yさんに「子どもさんを亡くしたり、つらいことあったとき、どうやって乗り越えて
きはったんですか?」と尋ねたことがあります。
Yさんは、「多分、信仰のおかげじゃないかしらねー。」と。
神道を信仰されているYさん、毎朝祝詞をあげておられるそうです。
「何かいいことがあったら、普通の人だったら当然のことと、気にも止めないようなことでも
私は「おかげを頂いた。ありがとうございます。」と思うんですよ。」と。

子どもを亡くして生きている。
考えただけでも涙が出て、とても耐えられそうにないのですが、
人間は強いもんですね。
こんなにたくましく自分の人生を生き抜いている方たち。

ここディサービスセンターはドラマチックです。