昨日はデイサービスセンター陶芸教室でした。
めっきり弱って体力のなくなったT原さん。
陶芸の部屋に来られることもなくなりました。
ほとんど1日、座って過ごされています。

「T原さん、こんにちは。お元気ですか?」
ゆったり座っているT原さんに声をかけてみました。
「この絵、懐かしいなーと思って見てるんですよ。」
DSCN3445
T原さん作の絵画が壁にずらっと飾られています。
DSCN3440

「T原さん、私、この書にいつも勇気づけられてますよー。持ち味を生かせ。」

「ほー。それはうれしいですね。本望ですねー。
あなたは自分の持ち味がわかっていますか?」
「うーん、、、。なんとなくやけど、、。」
「それはいい!自分の持ち味がわからないっていう人が多いんですよ。
持ち味がわからずにやっていくのは大変ですからね。」
「うーん、、。まあ、自分が理想にするもの作ろうと思っても
結局、どうしても自分の感じになってしまうじゃないですか。
そんなもんかな、と思って、、、。」
「そんな投げやりではいけませんよー。修行しないとー。」
「あ、そっか、、、。」

根っからの美の探究者、T原さんと久しぶりに問答しました。
身体は弱って記憶も弱って、めっきり年をとられたT原さんですが
話す声は凛と響き、考えながら話す目にはまだまだ厳しさと輝きがあります。

「T原さんはずっと美を追求してきはったから、ずいぶん
蓄積されたものがあるでしょうねー。」
「いやいや、堂々めぐりばかりですよ。結局、答なんて
あるのかないのか、、、。」

「自分の人生、これでいいんでしょうかって誰かに聞いても
誰もこれでいいんだよとは言ってくれませんよ。
自分でよし、と思って、自分で決めてやっていくしかないんですよ。
そりゃー、たまには先輩にこれは正しいんですかって
聞きたくなるけれども、、、。」

「美術の人」T原さん、自分に厳しく、表現というものに
挑戦し続けてこられた姿を言葉の端々に感じます。

自作の絵を見ながら、
「絵っていうものは不思議ですね。
これはそんなでもないなーと思う絵でも
家に飾ってみると、妙に落ち着いて
生活感が出てきたりしますね。
あー、落ち着くなーとか、あー、こんな美しさがあったのかーとか。」

自分に厳しいT原さんが
目を細めながら自作の絵を見て、
うれしそうに落ち着いておられる姿に
私もなんとなくうれしい気分になりました。